この恋は、知られてはいけない。
「あ、おはよう名前!」
「あ、おはようツナ。」
「今日って宿題とかなかったよね?」
「え、数学のワークがあるよ。」
「うそ!?」
お願い見してー!というダメな幼馴染みを見てひっそりとため息。
(私ってば、どうしてこんなやつが好きなんだろう)
でも、
好きになっていたのだから。
「ねえ名前ってば!聞いてる?」
「ああごめん。はい、ワーク。」
うわあ、ありがとう!と言ってからチラリとこちらをうかがう気配。
─────ああ、くるなぁ……。
「聞いてよ!昨日京子ちゃんがね───」
ねえ、やめてよ。
私の前できみが好きなオンナノコの話をしないで。
きみが私のことを幼馴染みとしか見ていないことは知っているから、これ以上はやめて、
「………そっか。前よりずっと話せるようになったね。」
張り付けた嘘の笑顔。
昔なら気づいてくれたのに、今ではもう気づいてくれなくなってしまったね。
どうしてかなぁ、こんなに近くにいるのにものすごくきみが遠いよ。
もっと、近づきたいのに。
「あ、京子ちゃんだ!」
私の横から駆け出すツナ。
いつのまにかツナの周りには友達がいて、
ポロリと、無意識に涙が一粒こぼれた。
「もう、この役も渡さないといけないなぁ────・・・」
空を見上げて呟いた言葉は、誰にも聞かれることなく空気に融けてしまった。
秘密の恋
(さようなら、私の初恋)
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